大切な人を偲ぶ場では、言葉よりも静かに想いを届けてくれるのが「お悔やみの花」です。
けれど、色は白だけでいいのか、どの花がふさわしいのか、相場はいくらか、宗教ごとの表書きや文言はどう書けばいいのか——初めてだと迷いが尽きません。
本稿では、枕花・供花・法要花の違いから、失礼にならない色と花材、予算の目安、立札やメッセージの文例、配送のタイミングまでを一気に解説。
たった数分で“正解の選び方”がわかり、相手に負担をかけない、心のこもったフラワーアレンジメントが整います。
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お悔やみ花は「白基調＋控えめな淡色」「長持ちする上品な花材」「相場帯を守る」「宗教・会場のルールに沿う」の4点を押さえれば失敗しません。
枕花は通夜前まで、法要花は前日着を基本に、立札は贈り主名を簡潔に、メッセージは相手の悲しみに寄り添う短文で。
迷ったら、故人やご遺族の意向を最優先にしつつ、店には「目的・予算・色・避けたい花材・納品日時」を明確に伝えましょう。
心を届ける花選びは、正しいマナーとささやかな心配りから。これだけで、静かな敬意がきちんと相手に届きます。
お悔やみ花の基本（枕花・供花・法要花の違い）
枕花（まくらばな）…訃報後、お通夜までのあいだに安置先へ届ける控えめな籠花アレンジ。相場はおよそ5,000〜20,000円、1万円前後が無難。飾るスペースを圧迫しないサイズが基本です。
供花（きょうか／くげ）…通夜・葬儀・告別式に飾る花。会場指定があることも多く、スタンド花や籠花が一般的。
法要花…四十九日・一周忌などに自宅や寺院へ。白基調〜淡色の上品なアレンジが安心です。
注：会場によっては外部からの持ち込み不可・花材/サイズ指定あり。必ず葬儀社や会場へ事前確認を。
正解の「色」ガイド（時期・宗教・関係性でどう選ぶ？）
通夜〜葬儀・四十九日まで：白基調＋グリーン。必要に応じて淡い黄・紫までが無難。
四十九日以降（年忌法要・命日など）：白をベースに淡いピンク・ブルー・ラベンダーなどを加えてOK。最近は故人の好みを反映する柔軟な選び方も増えています。
赤などビビッドカラー：一般的には控える。ただし、「無宗教葬」や“故人が赤を愛した”などご遺族の意向が明確なら例外も。
正解の「花材」ガイド（長持ち・香り・タブーの線引き）
おすすめ（長持ち＆上品）
ユリ、菊（マム）、カーネーション、トルコキキョウ、洋ラン（デンファレ／胡蝶蘭の切り花）など。
避けがちな花材（原則）
トゲのある花（バラ・アザミ等）や毒性が強い花、強香すぎる花はタブーとされやすい。ただし近年は棘処理した白バラや白ユリを使うケースもあり、“絶対NG”ではありません。場の意向を最優先に。
鉢物は？
鉢植えは弔事では原則NG（「根付く＝不幸が根付く」の連想）。法要・仏壇も切り花アレンジが基本。
アレンジの「形・サイズ」早見表
枕花：小〜中サイズの籠アレンジ（卓上）。白基調・控えめ。
葬儀の供花：
スタンド花（一基）…会場で立て札付き。親族外は1基・1段が一般的。
籠花…会場や後飾りにも移しやすい。
法要花：卓上アレンジ／花束。自宅仏間に置けるサイズ感。
相場と予算の決め方（個人・親族・法人）
枕花：5,000〜20,000円（友人知人は5,000〜10,000円、親族は10,000〜20,000円が目安）。
供花（スタンド）：一般的に一基15,000〜20,000円が相場。親族以外はこの範囲が無難。
アレンジ（卓上）：通販実勢では5,000〜10,000円台がよく選ばれる帯。
高額にし過ぎると返礼負担をかけます。会場の統一感もあるため、相場帯で揃えるのが礼儀。
宗教別マナーと表書き（仏式／神式／キリスト教）
仏式
香典の表書き：「御霊前」（四十九日後は「御仏前」）。※浄土真宗・曹洞宗は最初から御仏前が慣例。
神式
香典の表書き：「御神前／御玉串料／御榊料」。時期により「御霊前」を用いる説明も。
キリスト教
香典の表書き：「御花料」（カトリックは「御ミサ料」も可）。水引なしの封筒が一般的。
言い回し：仏式の「ご冥福」「成仏」は避け、**「安息（平安）をお祈りします」など。
立札・メッセージカードの書き方
立札（供花の札）：上部に「供」「弔」などの飾り文字＋贈り主名のみを縦書き。連名は右から役職上位。先方名（故人名）は書きません。
家族連名：世帯主名のみが基本。どうしても連名にする場合は夫→妻→子の順で苗字は夫のみ
送るタイミング＆配送の注意点
枕花：お通夜前〜当日までに。安置先・受け入れ可否を要確認。
通夜・葬儀の供花：会場指定の花店・形式に合わせる（外部持ち込み不可の会場あり）。
法要花：前日着が基本。当日着は慌ただしく避けるのが親切。
これだけは避けたいNG（でも例外もある）
鉢植え・ツル物…「根付く」連想で弔事は原則NG。
トゲ／強い毒／強香…避けるのが基本。ただし棘処理の白バラや白ユリを状況に応じ選ぶ例も増加。
色の強すぎる花…原則避ける。無宗教葬・ご遺族の明確な希望があれば柔軟に。
そのまま使える文例集（宗教・関係別）
仏式（一般）
「ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。安らかなご冥福をお祈りいたします。」
「在りし日のお姿を偲び、謹んでお悔やみ申し上げます。」
神式
「ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。御霊の安らかならんことをお祈りいたします。」
「みたまの平安をお祈り申し上げます。」（香典表書きは「御神前」「御玉串料」など。）
キリスト教
「天に召された〇〇様の安息（平安）をお祈りいたします。」
「主の慰めがご遺族の上にありますように。」（冥福・成仏は避ける。
ビジネス（取引先）
「ご尊父様のご逝去に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。心ばかりの花をお届けいたします。ご無理なさいませんようお身体ご自愛ください。」
忌み言葉（重ね言葉「重ね重ね」「ますます」等）や過度な励ましは避け、簡潔に低姿勢で。
迷った時の注文手順チェックリスト
誰へ・どこへ：自宅／会場（会場は持ち込み可否・指定花店・受取可能時間を確認）。
いつ着くか：枕花＝通夜前まで／法要＝前日着。
ご宗教：仏式／神式／キリスト教（色・文言・表書きの整合）。
予算と形：枕花（5,000〜20,000円）／スタンド（一基15,000〜20,000円）／卓上アレンジ（5,000〜10,000円台）。
花材指示：白基調＋長持ち花材（ユリ・菊・トルコキキョウ等）、タブー回避、香り控えめ。
札・カード：立札の書式（飾り字＋贈り主名のみ／連名の並び）、文例を準備。
よくある質問Q&A
Q. バラは絶対ダメ？
A. 原則は避ける推奨（棘・象意）。ただし棘処理した白バラなどを使う事例もあり、会場方針・ご遺族の意向が最優先です。
Q. 胡蝶蘭は？
A. 切り花は上品で長持ち。鉢植えは弔事では避けるのが無難。
Q. 立札に故人名は書く？
A. 書きません。飾り字＋贈り主名のみが基本。
Q. スタンド花はいくら？一基と一対の違いは？
A. 一基15,000〜20,000円が一般的。二本で一対（ペア）です。