お供えの花は、ただ「白で無難」にまとめればいい——わけではありません。四十九日までの配色や宗教ごとのタブー、鉢物を避ける理由、相場の目安、さらにはカードに添える言葉選びまで。
ひとつでも外すと、せっかくの思いやりが届きにくくなることもあります。本記事では、プロが実務で押さえている判断基準を「色・花材・相場・文例」の4軸でわかりやすく解説。
通夜から年忌法要まで、場面ごとに“迷わず選べる”具体策を示します。
慌ただしい手配の最中でも、このガイドさえあれば短時間で失礼のない最適解にたどり着けます。
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お供え花の正解は「白を基調に、時期と宗教に合わせて淡色を足し、相手の環境に配慮する」こと。
四十九日までは白中心、以降は淡い紫や水色などで静かな品格を。花材はトゲや強香、花粉・毒性に注意し、相場は自宅向けで5,000〜7,000円前後を目安に。
カードは忌み言葉を避け、簡潔に哀悼の意を伝えます。
形式は思いやりの器にすぎません。基本のマナーを土台に、故人やご遺族を想う気持ちが最も美しく伝わる一品を、丁寧に選びましょう。
お供え花の基本マナー（まずはここだけ押さえる）
四十九日までは「白基調」が原則。地域差はありますが、白に淡い黄・紫を少し添える程度が無難です。
四十九日後は落ち着いた淡色（白＋淡い紫／水色／ピンク）も可。原色は控えめに。
鉢物は避ける（「不幸が根付く」を連想）。贈るなら切り花の束やアレンジ、または胡蝶蘭（鉢）でも白一色かつ格式のある場面に限定で。
強い香り／トゲ／毒性／ツル性の花は避ける。
先方の宗教・会場ルールを最優先（「スタンド禁止」「金額統一」などがある）。
色の選び方（時期・宗教別の早見表）
時期別の基本配色
通夜〜四十九日：白基調（＋淡い黄・紫まで）。
四十九日後〜一周忌：白＋淡色（紫・水色・淡ピンク）。
年忌法要：白＋紫（高貴／尊敬の意味）。
宗教別の配色傾向（要点）
仏式：白基調、淡い黄・紫が無難。赤やビビッドカラーは控えめに。
神式：白＋グリーンが基本。榊が重視され、清浄感を優先。
キリスト教式：白中心＋淡い色。輪菊など仏式を強く連想させる花材は避け、白百合・カーネーションなどが○。原色は控えめ。
花材の選び方（入れてよい花／避けたい花）
無難で長持ちしやすい花材
菊（スプレー／ピンポン）、トルコキキョウ、カーネーション、カスミソウ、スターチス、リンドウ（秋）、ユリ（花粉処理）、胡蝶蘭。
避けたい／配慮が必要な花
トゲのある花（バラ、アザミ等）
毒性のある花（彼岸花、スズラン、チューリップ等）
ツル性（クレマチス、ジャスミン等）
強香（カサブランカ等）は控えめに
花粉が多い花（ユリ等）は花粉除去を徹底
鉢物は原則避ける（贈るなら格式や先方の希望確認）。
ペットがいるご家庭にはユリ等の毒性にも配慮（特に猫）。
宗教・宗派別のポイント
仏式：白基調＋淡い黄・紫。四十九日までは白中心が無難。
神式：榊や白＋グリーンの清楚な構成。玉串奉奠など神道固有の作法に合わせる。
キリスト教式：白百合・カーネーションなど。輪菊（仏花の象徴）は避けるのが無難。色は白＋淡色。
価格相場とサイズ感
自宅・仏壇向け（花束／アレンジ）
相場：3,000〜10,000円（最も選ばれているのは5,000〜7,000円台）。サイズは仏壇に置きやすい高さ30〜40cm前後が目安。
四十九日：5,000〜15,000円程度。関係性に応じて。
胡蝶蘭（法人・格式高い場）
相場：15,000〜30,000円。長く鑑賞でき、格調がある。色は基本白。
葬儀会場のスタンド花
1基：15,000〜20,000円が一般的（品揃え例は18,700円〜）。
別の指標として1基7,500〜15,000円／1対15,000〜30,000円の相場感も提示されています（会場規定に従う）。
実勢商品の例：1段22,000円、2段27,500円など。
注意：スタンドは会場の持込規定・金額統一がある場合あり。必ず事前確認を。
贈るタイミング・手配のしかた
基本の段取り（オンライン手配も可）
宗教／会場ルール／お届け先を確認（会場はスタンド可否・価格帯をチェック）。
時期に合わせた配色を決める（四十九日までは白中心）。
予算帯を決め、花束 or アレンジ or 胡蝶蘭 or スタンドを選択。
カード文面を準備（忌み言葉に注意／後述の文例を活用）。
到着日は前日〜前々日が安心（当日着指定は避ける）。
よくある時期別の目安
通夜・葬儀：会場規定に合わせスタンドor供花。
四十九日：白基調のアレンジを前日〜前々日に到着。
初盆／新盆：白＋淡色のアレンジや胡蝶蘭。
メッセージカードの文例集（用途別・宗教別）
忌み言葉（重ね言葉「たびたび／再び」、直接的表現「死ぬ」、仏語を神式・キリスト教式で使う等）は避け、簡潔に哀悼の意を伝えるのが基本です。
一般（仏式・時期不問）
「ご訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。故人のご冥福をお祈りいたします。」
「在りし日のお姿を偲び、安らかな眠りをお祈りいたします。」
四十九日
「四十九日にあたり、謹んで哀悼の意を表します。安らかな旅立ちでありますようお祈りいたします。」
命日・年忌法要
「ご命日に際し、変わらぬ感謝とともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。」
初盆・新盆
「静かな新盆をお迎えのことと存じます。皆様のご平安をお祈り申し上げます。」
神式向け（語彙に注意）
「ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。御霊の安らぎをお祈りいたします。」（※「成仏・冥福・供養」は避ける）
キリスト教式向け
「主の御許での安らぎをお祈りいたします。心よりお悔やみ申し上げます。」（※仏式語彙や輪菊連想の強い花は避ける）
さらに多用途の例文集が必要なら、カード文例の特集が参考になります。
よくある質問Q&A
Q. 故人が好きだった赤い花は入れて良い？
A. 四十九日以降であれば、淡い色調で控えめに取り入れる手はあります。時期・場の雰囲気を優先してください。
Q. ユリはNG？
A. NGではありませんが、強香・花粉に配慮し、花粉除去や本数を控えめに。ペット（特に猫）のいるご家庭には避ける選択も。
Q. 何色までがマナー？
A. 四十九日までは白中心、入れても黄・紫程度。以降は白＋淡色が一般的です。
Q. 1基と1対の違い？相場は？
A. 1基＝1つ、1対＝左右2つ。相場目安は1基15,000〜20,000円／1対20,000〜30,000円（会場規定により統一されることも）。
迷ったらコレ：場面別おすすめ配色・花材ミニレシピ
通夜〜四十九日（自宅宛）
白MIX（輪菊・スプレーマム／トルコキキョウ／カスミソウ）＋ごく淡い紫を少量。高さ35〜40cm、5,000〜7,000円。四十九日法要（会場宛）
白中心＋淡紫または淡水色。7,000〜10,000円のアレンジ。初盆・新盆
白＋淡色（ユリは花粉処理）。胡蝶蘭（白）を15,000円前後で選ぶのも○。会社として葬儀会場へ
スタンド1基15,000〜20,000円。会場規定要確認。
チェックリスト
宗教・会場ルール（スタンド可否／金額統一）を確認した
時期に合わせた色（四十九日までは白中心）を選んだ
避けたい花（トゲ／毒／ツル／強香／花粉）を外した
相場帯とサイズ（仏壇・会場）を調整した
到着日は前日〜前々日に設定した
カード文面は忌み言葉を避け、簡潔に整えた