封を開けた瞬間、ふわりと季節がこぼれ落ちる——そんな一通を、あなたは受け取ったことがありますか。
手紙に花を添える行為は、単なる“飾り”ではなく、相手の心にそっと触れるための心配りそのもの。
とはいえ、生花を封筒へ入れるのは本当に正解?お見舞いに押し花は失礼に当たらない?
郵便の厚みや病院のルールなど、意外と知らない実務の落とし穴もあります。
本ガイドでは、生花・押し花・ドライ(プリザーブド)のそれぞれを「いつ・どう使うか」「何を避けるか」まで、場面別にやさしく整理。
マナーと実務の両面から“美しく届く”方法を、例文とチェックリスト付きでお届けします。
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手紙に「花を添える」とは?3つの考え方
同封:押し花・ドライ・プリザーブドを封筒に入れる(薄く軽いもの向け)。
同送:手紙は封筒、花は宅配で別梱包(生花は基本こちらが安全)。生花を封筒に“直接入れる”のは湿気・汚れ・破損の観点でNG。
同席:面会や手渡しのときに花と手紙を一緒に渡す(病院など施設ルールに注意)。病院では院内感染対策の観点から生花持ち込みNGの方針も一般的です。
シーン別マナー早見表(祝辞・季節の挨拶・お悔やみ・お見舞い)
シーン | 色・花材の目安 | 形態のおすすめ | NG・注意 |
---|---|---|---|
祝辞(昇進・結婚報告など) | 明るい色(白・黄・ピンク)。季節の花を少量 | 押し花・ドライ同封/小さな生花を同送 | 生花を封筒同封はNG(湿気・汚損) |
季節の挨拶(暑中見舞い等) | 季節の草花(向日葵・紫陽花の押し花など) | 押し花同封が最適 | 厚み超過に注意(後述) |
お悔やみ・法要 | 白基調(菊・百合・胡蝶蘭など)。四十九日までは白系が基本 | 生花を同送/上品な押し花(白系)同封 | カラフル過ぎる色味は避ける。到着時間にも配慮。 |
お見舞い | 香りが強すぎない花/院内ルール確認 | ルール次第。NGならカードと押し花に代替 | 生花NGの病院多数。必ず事前確認。 |
生花を添える:正解の送り方とNG
基本方針
封筒に生花を入れない:水分・花粉・匂いで手紙や郵便物を汚損する恐れ。郵送中に押しつぶれやすく、他の郵便にも迷惑がかかります。
どうしても生花を贈りたい場合は、手紙は封筒、花は宅配で別送(同日着)が正解。
送り方のコツ(宅配)
吸水を最小限に:余分な水分は劣化の原因。スポンジや茎の保水は必要最低限にし、水滴は拭き取る。
固定して保護:箱内で動かないよう紙や緩衝材で花に直接圧がかからないよう固定。上から資材を載せない。
夏場はクール便:高温期は生花が弱りやすい。冷蔵タイプのクール便を選ぶ。
到着日時の配慮:お悔やみ花は通夜当日の午前中着が目安。
押し花を同封する:作り方・貼り方・郵便のコツ
押し花のメリット
薄く軽く、封筒に同封しやすい。季節感・花言葉を“紙面に溶け込ませる”演出が可能。
かんたん作り方(3日〜1週間)
花材を薄く整える(厚い花は分解して花弁に)。
キッチンペーパー→吸湿紙→図鑑や重い本で平圧。
乾いたらラミネート風に和紙やトレーシングペーパーでサンドして保護。
貼り方のコツ
直接のり付けは破損のもと。小さな透明コーナーや和紙テープで“差し込む”方式が安全。
台紙は酸性紙を避ける(黄ばみ防止)。
封筒内で擦れないよう薄いグリーティング台紙に固定してから同封。
郵便のポイント
厚さ1cm以内なら定形郵便、3cm以内は定形外(規格内)。重さで料金が変わる。押し花台紙は薄く仕立てよう。
ドライ/プリザーブドを同封する:湿気&虫対策まで
軽く割れやすいため、小さな花頭(ミニバラ・カスミソウ)や花弁のみが同封向き。
湿気は大敵:梅雨〜夏はシリカゲルをミニ袋で同封し、封筒はOPP袋+紙封筒の二重に。
プリザーブドの耐久は1〜2年が目安。直射日光・湿気を避けると長持ち。梅雨時は葉物・実物に虫が付く例もあるため点検を。
花言葉・季節感の選び方(迷ったらここ)
花言葉(花材の意味)は、言外のメッセージとして便利。たとえば—
桜:精神の美・優雅(春の便りに)
菊:高潔・長寿(弔意や敬老に)
百合:純潔・威厳(フォーマル)
向日葵:憧れ・敬慕(元気づけ)
紫陽花:辛抱強さ・家族団欒(梅雨の挨拶に)
胡蝶蘭:幸福が飛んでくる(はなやかな祝い)
※ 花言葉は地域・色によって揺れがあります。迷ったら白系中心+グリーン多めが上品で外しにくい選択。
郵送サイズ・厚み・料金の目安(失敗しない実務)
定形郵便:長辺14〜23.5cm、短辺9〜12cm、厚さ1cm以内/重さ〜50g。
定形外(規格内):最長辺34cm×25cm×厚さ3cm以内、〜1kg。
重さで料金が決まるため、押し花台紙・緩衝材は軽量化を。
国際郵便で植物素材を送る場合は、国・品目により植物検疫の制限がかかることがあります。生花の国際発送は避け、カード+押し花(紙製加工品)などに切り替えるのが無難です。サイズや重量ルールも国内と異なるため、送る前に最新条件を確認しましょう。
例文テンプレ(そのまま使える一筆箋)
祝辞(昇進・受賞)
ご栄進おめでとうございます。
小さな押し花を同封いたします。新しい季節が、いっそう実り多き日々となりますように。
お悔やみ(四十九日まで/白系押し花同封)
このたびはご訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
慎ましやかな白の押し花に、哀悼の意を込めて同封いたしました。どうぞご自愛ください。
お見舞い(生花NGの配慮)
ご療養の折、心ばかりのカードをお届けします。
病院のご方針に配慮し、押し花に代えさせていただきました。一日も早いご回復をお祈りしています。
よくある失敗と回避策Q&A
Q1. 生花を封筒に入れたら、シミが…
A. 生花同封は原則NG。別送し、余分な水分を徹底的に拭き取り固定。夏場はクール便を活用。
Q2. 押し花が郵送中に割れた
A. 直接貼らずポケット式固定、薄い台紙で反り防止、封筒は角型薄マチ+台紙で曲げ対策。厚さは1cm以内(定形)か3cm以内(定形外)に収める。
Q3. プリザーブドを入れたいけど、長持ちする?
A. 直射日光と湿気を避ければ1〜2年の鑑賞が目安。梅雨時は葉物・実物に虫が付く例があるため、透明袋で密閉+点検を。
Q4. お悔やみで色物はダメ?
A. 四十九日までは白基調が基本。遺族側の意向で淡色を少量混ぜるのは可。到着は通夜前に。
Q5. 病院へ花は持ち込める?
A. 病院ごとに方針が分かれます。感染対策上NGの施設が多いため、原則は事前確認。代わりに押し花カードを。