新しい船出にふさわしい“きちんと感”は、最初の一歩で決まります。取引先の事務所開きに何を、いつ、どんな形で贈ればいいのか——相場やのし、渡す時期は意外と迷いどころ。
本ガイドでは、ビジネスの現場でそのまま使える実践ルールだけを凝縮し、「失礼なく、印象よく」お祝いできる最短ルートを示します。
紅白・蝶結びの選び方から、表書きの安全ワード、胡蝶蘭や実用品の使い分け、遅れたときの言い換えまで、これ一本で迷いゼロ。あなたの心遣いが、相手の門出をいちだんと晴れやかにします。
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事務所開き“基本のマナー”早見表
項目 | 基本ルール | 補足 |
---|---|---|
のし紙 | 紅白・蝶結び | 何度でも結び直せる慶事向け。弔事の結び切りはNG。 |
表書き(上段) | 「御開業御祝」「御開設御祝」「御祝」など | 4文字(例「開店御祝」)は“死文字”忌避の配慮で避ける地域・慣習あり。 |
名入れ(下段) | 会社名/部署名一同/氏名 | 連名可。企業→企業なら会社名が先。 |
渡す時期 | 開設の1週間前〜前日/当日午前中 | 花は前日〜当日(受付可能時間)、遅くとも2日以内が目安。 |
金額相場 | 取引先:1〜5万円/身内:3〜5万円/友人知人:5千〜1万円 | 地域・関係性で上下。現金もマナー上OK。 |
金額相場:関係別・贈り方別
取引先・法人あて:1〜5万円
開業規模や日ごろの取引ボリュームで調整。胡蝶蘭なら見栄えとのバランスを。身内(家族・親族):3〜5万円(または相応の品)
友人・知人:5千円〜1万円(連名で格上げ可)
“相場の目安”としての3〜5万円という見立ても一般的。
コツ:品物派なら「実用品+見栄え」を両立(コーヒーメーカー、上質文具、名入れ印鑑、セキュリティ金庫など)。胡蝶蘭は価格=輪数・段数に直結。
のし・表書き:正しい選び方と書き方
のし紙と水引
紅白・蝶結びを選ぶ(慶事一般・何度でも結び直せる意味)。
表書き(上段)のおすすめ
御開業御祝/御開設御祝/御祝/祝 開業
事務所(オフィス)開き=「開業」「開設」「開所」が汎用で安全。
地域配慮:4文字(例「開店御祝」)は“死(4)”連想で避ける配慮が案内されることあり。迷ったら「御○○御祝」形式に
名入れ(下段)
会社名(+部署名)一同/役職+氏名/個人名
複数人は中央から右→左へ年長順、4名以上は代表者名+外一同。
書き方の道具
毛筆 or 筆ペンが原則(ボールペンは避ける)。濃く楷書で。
渡す時期:最適なタイミング&遅れた場合の文言
ベストタイミング
1週間前〜前日に到着するよう手配。当日午前持参も可。先方の受領可能時間を確認。
花(胡蝶蘭など)は前日〜当日が基本。開店・開所後は遅くとも2日以内が理想。夜オープン等は在店時間必ず確認。
時期を逃したときの表書き
「祝御発展」「祈 御発展」に切替える(“開設直後”ニュアンスを外す)。
お祝い品の定番とタブー
定番
胡蝶蘭(品格・日持ち・写真映え/立札でPR効果)
観葉植物(管理難度・置き場所は事前確認)
実用品(高級コーヒーマシン、金庫、上質オフィス用品 等)
カタログ型ギフト/ギフトコード(重複回避・省スペース)
タブー/注意
火事連想のライター・赤い花一色のみ大量などは配慮を。
大型観葉は避難導線や管理者不在で邪魔になることも。事前連絡が安全。
立札(木札・カード)の書き方(胡蝶蘭・スタンド花)
基本構成
祝語:「祝」「御祝」「祝 開設」
先方名:会社名・事務所名(必要に応じ部署・代表者名)
贈り主:会社名(役職・氏名)
「店名/会社名入り」は告知・PRにも有効。サイズは花のボリュームに合わせる。
事務所開き専用なら「祝 御開設」も一般的。
金封・包み方・手渡し作法(実践手順)
用意するもの:紅白蝶結び祝儀袋、ふくさ、筆ペン(濃墨)
祝儀袋に
上段:御開業御祝(または御開設御祝・御祝)
下段:会社名(部署)一同/氏名を記す。
中袋:金額(表)・住所氏名(裏)を楷書で。
ふくさに包み、祝辞を添える。
会場で受付→名乗り→一礼して両手で差し出す。
現金が失礼にあたるか?→事務所開きでは一般に問題なし。相手の性格に配慮。
連名・社名表記のルール
企業→企業:会社名を先に。複数社なら五十音順が無難。
4名以上:代表者名+外一同、別紙に全員氏名。
よくある失敗と回避策
表書きが4文字(地域によって忌避)→御○○御祝に。
仏滅当日しか受け取れない → 先方が気にするなら前倒し配送。六曜は相手に合わせて柔軟に。
花の受け取り不在/夜オープン → 在店時間の事前確認。
開設後だいぶ遅れた → 「祝御発展」で贈る。
ひな形:メール&メッセージ文例、のし見本
開所前の贈答同梱メッセージ
ご開設、誠におめでとうございます。貴社の更なるご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
開設後に遅れた場合
このたびのご開設、心よりお慶び申し上げます。遅ればせながらご発展をお祈りし、ささやかではございますが御祝の品をお贈りいたします。
ビジネスメール(訪問の可否確認)
件名:事務所開きのお祝い品お届け日時のご相談
〇〇株式会社 〇〇様
平素よりお世話になっております。△△(自社名)の□□です。
御開設のお祝いとしてお花をお届けしたく、受領可能な日時をご教示いただけますと幸いです。候補:前日午後/当日午前。ご多忙の折恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
のし表書きサンプル
(毛筆・筆ペン推奨、濃墨、楷書)
〈実務メモ〉経費・税務の取り扱い(贈る側)
企業が取引先へ贈るお祝いは、原則交際費等として扱われます(資本金規模等で損金算入の上限・扱いが異なる)。
最新の取り扱いは国税庁の交際費等の範囲および会計専門家解説を参照。社内規程とあわせて稟議を。